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労働委員会・裁判闘争報告


大阪地域合同労働組合の主な活動はそれぞれの職場の労働環境・労働条件改善のための団体交渉です。

しかし、残念ながら 話し合いで解決がつかなかったり、そもそも話し合いにならないことも、ままあります。


こんなとき、場合によっては第3者に中に入ってもらわざるをえないことがあります。

それが、労働委員会であり、裁判ということです。


私たちは個人で入れる労働組合ですから、労働委員会・裁判闘争も常に抱えています。

このページでは私たちがかかわった最近の労働委員会命令や裁判の判決の概要を紹介します。

※ほぼ勝利と言ってよい和解も多いですが、和解については紹介を控えます。


なお組合員の個人名はすべて伏せて掲載します。


2023年9月29日大阪府労委 勝利命令

申立人 大阪地域合同労働組合

被申立人 株式会社ポーラ

主文

1 被申立人は、申立人が令和3年10月8日付けで申し入れた団体交渉に応じなければならない。

2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。


大阪地域合同労働組合

執行委員長武谷義之様

株式会社ポーラ     

代表取締役 竹永美紀

 当社が、貴組合が令和3年10月8日付けで申し入れた団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。


解説

 ポーラ化粧品を販売するOさんが組合に加入して、団体交渉を求めましたが、拒否されたため救済申立をしました。

組合員(Oさん)はマネージャーと呼ばれる立場でした。契約上は委託販売業者でしたが、実態は労働時間や場所も指定されて働いている労働者でした。「グランドオーナー」(制度上店舗運営の実権を握る者)の指示で店舗の家賃、事務経費、駐車場代、を負担させられた上、在庫が不足すると(実際月に100万を超える)オーナーとかマネージャーと呼ばれる販売員で分担弁済させられ、実質的には月に10万円の収入にもなりませんでした。

それでいて、休日は年に数日で、朝から晩まで実質的に「労働」が強制されていました。

 ポーラ化粧品は全国25000人から4万人をOさんと同様の形で「労働」させています。無権利状態で多くの「賃金」を搾取されているポーラで働く人たちは、労働組合を作る権利、加入する権利、団体交渉を求める権利があると認められました。問題を抱える販売スタッフの皆さんは是非ご相談下さい。


2023年9月14日 大阪地方裁判所 勝利判決

原告 大阪地域合同労働組合堀川化成分会組合員森さん

被告 堀川化成株式会社

被告 藤本 基

被告 山内秀行

主文

1 被告会社及び被告藤本は、原告に対し、連帯して50万円及びこれに対する令和4年1月19日から支払済みまで年3分の割合による金員(ただし、うち30万円及びこれに対する令和4年1月19日から支払済みまで年3分の割合による金員は、被告山内と連帯して)を支払え。

2 被告山内は、原告に対し、被告会社及び被告藤本と連帯して、30万円及びこれに対する令和4年1月19日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。(以下略)

解説

森組合員に対する脱退勧奨(不当労働行為)、及びパワハラが争われました。

取締役の山内被告が「組合員を通すなら一生平社員」や「(辞めれば)課長代理」「下手な生き方に自分から飛び込むのはどうか」「一般論として本格的な報復に入ると思う」などと組合からの脱退を勧めたうえ、森さんがそれに従わないとなると、一転して懲戒免職をちらつかせて退職を勧奨しました。

これらが全て認められ、会社が損害賠償を負うこととなりました。

ただ、私たちとしては損害賠償額としては非常に低額で、会社がこれで反省するとは思えないところがあり、残念です。

今後も組合活動を通じて、会社の考え方を改めさせなければならないと「勝って兜の緒を締める」というところです。


なお、判決全文は堀川化成分会のホームページに掲載しています。→こちら



2023年8月18日大阪府労委 本組合南海興業分会 勝利命令

申立人 大阪地域合同労働組合

被申立人 株式会社南海興業

主文

1 被申立人は、申立人が令和2年10月13日付け団体交渉申入書で申し入れた、会社の経営再建計画の今後の見通しを議題とする団体交渉に、交渉に必要な情報を秘匿することなく応じなければならない。

2 被申立人は、申立人組合員N、同T、同Z、同N、同I及び同Kに対し、令和2年6月分から同年11月分までの給与について、休業指示又は欠勤扱いがなければ支払われたであろう額と既に支払った額との差額を支払わなければならない。

3 被申立人は、申立人組合員Tに対する令和2年10月12日付けの建設部工事課への異動及び同年11月12日付けのけん責の懲戒処分をなかったものとして取り扱わなければならない。

4 被申立人は、申立人組合員N及び同Iに対する令和2年12月7日付けの夜勤から日勤への異動をなかったものとして取り扱わなければならない。

5 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。


大阪地域合同労働組合

執行委員長武谷義之様

株式会社南海興業 

代表取締役田中公治

当社及びその関係者が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、当社による労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。


(1)当社が、貴組合が令和2年10月13日付け団体交渉申入書で申し入れた、会社の経営再建計画の今後の見通しを議題とする同月28日の団体交渉に、誠実に応じなかったこと. (2号該当)

(2)当社総務部長Oが、令和2年12月9日、貴組合員N氏、同I氏及び貴組合員であったT氏と、組合を通すことなく個別に、夜勤から日勤への異動に係る労働条件について話をしたこと。(3号該当)

(3)当社総務部長Oが、令和2年8月12日に、会社の倉庫において、貴組合員T氏に対して組合からの脱退を促す発言をしたこと。(3号該当)

(4)当社代表取締役田中公治が、令和2年9月7日に、貴組合員Z氏に対して電話での通話において威嚇的な発言をしたこと。(3号該当)

(5)当社建設部統括部長Iが.令和2年9月7日に.、会社の工場において、貴組合員N氏に対し、組合活動をけん制する内容の発言をしたこと。(3号該当)

(6)当社代表取締役田中公治が、令和2年10月15日の朝礼において、組合に入って自分の主張ばかり言う奴は辞めてはしいという趣旨の発言をしたこと。(3号該当)

(7)当社の工場への送迎車両の運転手が、令和2年12月7日に、出勤した貴組合員I氏に対して貴組合の組合活動を非難する発言をしたこと。(3号該当)

(8)当社が、貴組合員N氏、同Z氏、同N氏、同I氏及び同K氏に対して休業を指示し、また、同T氏を欠勤扱いとし、それぞれ給与を減額したこと。(1号該当)

(9)当社が、令和2年10月12日付けで、貴組合員T氏を建設部工事課へ異動させたこと。(1号該当)

(10)当社が、令和2年11月12日付けで、貴組合員T氏に対し、けん責の懲戒処分をしたこと。(1号該当)

(12)当社が、令和2年12月7日付けで、貴組合員N氏及び同I氏を夜勤から日勤へ異動させたこと。(1号該当)


6 申立人のその余の申立てを棄却する。

解説

 以上のようにほぼすべてに、不当労働行為を認定する命令が出てましたが、会社は中労委への再審請求をせず、文書の交付(ポストノーティスは認められず、文書交付のみ)をしました。

 また、すべての異動を撤回し、220万円を超える弁済も支払うと言ってきています。



2023年2月2日大阪府労委 本組合アヴァック分会 勝利命令

申立人 大阪地域合同労働組合

被申立人 株式会社アヴァック

主文

1 被申立人は、申立人組合員K、同O、同T及び同Uに対し、令和2年絵月以降、再度土曜日の就労を命じられるまでの間、土曜日の就労により得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。

2 被申立人は、申立人組合員K及びOに対し、令和2年5月1日付けで主任の任を解いたことがなかったものとして取扱、同人らに対し、主任の任を解かなければ同人らが得られたであろう役付手当相当額を支払わなければならない。

3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

大阪地域合同労働組合
執行委員長 武谷 嘉之 様

                                       株式会社アヴァック
                                        代表取締役 今本 亜紀子

 当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないように致します。

(1) 令和2年2月17日付けで、貴組合員F氏を解雇したこと。(1号該当)

(2) 貴組合員K氏、同O氏、同T氏及び同U氏に対し、令和2年4月以降、土曜日勤務を命じないことで、同人らに就労時間の減少に伴う収入減額が生じたこと。(1号該当)

(3) 令和2年5月1日付で、貴組合員K氏及び同O氏の主任の任を解いたこと。(1号該当)

(4) 令和2年5月18日の面談において、元当社従業員1名に対し反組合的な言動をしたこと。(3号該当)

解説

1号違反として解雇や減給が違法であることがはっきりしました。さらに画期的であるのは残業差別(組合員には残業させない)も違法であると判断されました。

また支配介入の違法性も明らかとなりました。


足かけ3年の争いになりました。分会員一同が様々な嫌がらせにも負けずに団結して戦い抜いた結果の勝利です。しかしながら、嫌がらせは未だに終わっていません。この命令を基礎に会社の態度を改めさせ、まともな給与と、当たり前の権利が認められる会社になるよう頑張ります。ご支援ありがとうございました。




堀川化成事件は中央労働委員会で2022年6月2日和解となりましたので、記事を削除しました。



2019/12/16 本組合と株式会社トライメディカルサービスは中労委で和解に至りました。

      和解内容(非公開部分を除く)

株式会社トライメディカルサービス(以下「会社」という。)と大阪地域合同労働組合トライメディカルサービス分会(以下、大阪地域合同労働組合を「組合」、同トライメディカルサービス分会を「分会」という。)との間の紛争については、労使の互譲によって全て解決した。

1 会社と組合は、本件事件(労働委員会2件・裁判2件)を全て解決し、今後の円満かつ 正常な労使関係を実現するためこの協定を締結し、信義誠実の原則に則り、この協定を遵守することを確約する。

2 会社は、大阪府労働委員会から、平成26年(不)第56号、平成27年(不)第42号及び平成29年(不)第41号事件について、不当労働行為救済命令が交付されたことを 真摯に受け止める。

3 会社と組合は、今後、分会の組合員の労働条件等に関することについて、会社と組合及び分会との誠実な団体交渉によって解決を図ることを相互に確認する。

4 会社と組合及び渡辺一は、同人が令和2年1月20日付けで会社に復職し、同日付けで退職することを相互に確認する。

5 その他の和解条項については、非公開とする。

解説

長きにわたった争いでした。勝利和解と言ってよい内容で終結を向かえることができました。具体的な内容は第3者に対して非公開としたため、ホームページでは報告できませんが、これまでご支援ありがとうございました。



2019/7/5 大阪地域合同労働組合トライメディカル分会 府労委全面勝利命令

命令要旨

 株式会社トライメディカルサービスはシフト変更、職場環境改善、賃金改定などの要求に係る団体交渉に誠実に応じなければならない。

 株式会社トライメディカルサービスは大阪地域合同労働組合に、下記の文書を速やかに手交するとともに、縦2m横1mの白色板に下記の文書と同文を明瞭に記載して、トライメディカル本社正面玄関付近の見やすい場所に、及び、縦1m横50pの白色板に下記の文章と同文を明瞭に記載して、日本赤十字社大阪赤十字病院内にある休憩室内の従業員の見やすい場所に、それぞれ1ヶ月掲示しなければならない


大阪地域合同労働組合

執行委員長 木本 憲雄 様

                                         株式会社トライメディカルサービス

                                            代表取締役 巴川 公二

当社が、行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。


(1) 平成29年4月26日の貴組合との団体交渉において、保管ボックスの設置要求に対して、不誠実な対応をしたこと。

(2) 平成29年4月26日及び同年6月27日の貴組合との団体交渉において、貴組合員A氏及び当時貴組合員であったB氏のシフト変更要求に対して、不誠実な対応をしたこと。

(3) 平成29年5月23日及び同年6月27日の貴組合との団体交渉において、ステップ台及び通路のレーンの改善並びに空調の設置要求に対して、不誠実な対応をしたこと。

(4) 平成29年6月27日及び同年9月21日の貴組合との団体交渉において、賃金改定要求に対して、不誠実な対応をしたこと。

(5) 平成29年8月16日の貴組合との団体交渉において、途中で退席したこと。


解説

トライメディカルは大阪赤十字病院の入院患者の食器洗浄を請け負っています。交通費のカットや時給の変更などの労働条件の変更に際して分会が結成されました。

これに対して会社側は団交に応じず、すでにこれまでも府労委から命令が、中労委からは和解案として中労委委員の立ち会いのもと団交を行うなどの処置がなされ、組合としても正常な労使関係を築くために努力してきました。

2018年5月には2度目の府労委命令が下されました。しかしながら会社の態度は改まらず、今回不誠実団交、及び団交拒否について再び府労委から命令が出ました。

今回も看板の掲示までを含めた完全勝利命令となりました。また掲示期間も1ヶ月とかなり長期にわたります。

トライメディカルはこれまでの経緯を反省し、粛々と府労委命令を実施しなければなりません。



2018/5/21 大阪地域合同労働組合トライメディカル分会 府労委全面勝利命令

命令要旨

 株式会社トライメディカルサービスは大阪地域合同労働組合組合員5名に対して、平成26年10月1日以降の所定外労働を認めない取り扱い(残業差別)をなかったものとして取り扱い、他のパートタイム従業員と同等に所定外労働が割り振られていれば得られたであろう賃金相当額と、既に支払った賃金額との差額を支払わなければならない。

 株式会社トライメディカルサービスは大阪地域合同労働組合組合員2名に対して、平成26年10月1日以降、平成29年3月31日まで、所定外労働を認めない取り扱い(残業差別)をなかったものとして取り扱い、他のパートタイム従業員と同等に所定外労働が割り振られていれば得られたであろう賃金相当額と、既に支払った賃金額との差額を支払わなければならない。

 株式会社トライメディカルサービスは大阪地域合同労働組合組合員1名に対して、平成27年2月1日以降、週2日間、月8日間休日とする勤務が認められていれば得られたであろう賃金相当額と、既に支払った賃金額との差額を支払わなければならない。

 株式会社トライメディカルサービスは大阪地域合同労働組合が平成27年1月16日付、同年3月23日付、同年5月22日付で申し入れた団体交渉に応じなければならない

 株式会社トライメディカルサービスは大阪地域合同労働組合に、下記の文書を速やかに手交するとともに、縦2m横1mの白色板に下記の文書と同文を明瞭に記載して、トライメディカル本社正面玄関付近の見やすい場所に、及び、縦1m横50pの白色板に下記の文章と同文を明瞭に記載して、日本赤十字社大阪赤十字病院内にある休憩室内の従業員の見やすい場所に、それぞれ2週間掲示しなければならない


大阪地域合同労働組合

執行委員長 木本 憲雄 様

                                         株式会社トライメディカルサービス

                                            代表取締役 巴川 公二

当社が、行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。


(1) 平成26年10月1日以降、貴組合員A、同B氏、同C氏、同D氏及び同E氏、ならびに貴組合員であったF氏、同G氏及び同H氏に対し、所定外労働をさせなかったこと(第1号該当)。

(2) 平成27年2月1日以降、貴組合員C氏に対し、週2日間・月8日間休日とする勤務を認めなかったこと(第1号該当)

(3) 貴組合が平成27年1月16日付け、同年3月23日付け及び同年5月22日付けで申し入れた団体交渉に応じなかったこと(第2号該当)。


解説

トライメディカルは大阪赤十字病院の入院患者の食器洗浄を請け負っています。交通費のカットや時給の変更などの労働条件の変更に際して分会が結成されました。

これに対して会社側は団交に応じず、すでにこれまでも府労委から命令が、中労委からは和解案として中労委委員の立ち会いのもと団交を行うなどの処置がなされ、組合としても正常な労使関係を築くために努力してきました。

しかしながら会社の態度は改まらず、今回就労差別と団交拒否について、再び府労委から命令が出ました。

今回は賃金の支払命令、団交拒否認定、以上についての看板の掲示までを含めた完全勝利命令となりました。

トライメディカルはこれまでの経緯を反省し、粛々と府労委命令を実施しなければなりません。



2017/8/7 大阪地域合同労働組合ワゴンサービス分会 府労委勝利命令

命令要旨

1 株式会社ワゴンサービスは大阪地域合同労働組合組合員2名に対する平成27年12月10日付の通知(雇用契約解除通知)をなかったものとして取り扱い、同人らの雇用契約が更新されていれば得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない

2 株式会社ワゴンサービスは大阪地域合同労働組合に、下記の文書を速やかに手交しなければならない。


(宛名、差出人略)

当社が、貴組合員A氏及び同B氏に対し、平成27年12月10日付で、同28年1月10日にて雇用契約を終了する旨通知し、同日限りで両組合員の雇用契約を更新しなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。


解説

ワゴンサービスはパチンコのホールでコーヒーなどを販売しています。アルバイトで働いていた労働者が、時給が最初の話と違う、残業計算がおかしい、社会保険がない、有休が取れないなどをきっかけに労働組合を結成しました。組合結成を会社に通知した数日後に、はっきりと組合員であるとわかる2人だけを解雇してきました。

組合はこの解雇は組合員であることを理由とするもので不当であるとして労働委員会に申立てました。

労働委員会の審査の結果、組合の主張が全面的に認められ、解雇は無効となり、約1年8ヶ月分の賃金を組合員2人に支払うことが命じられました。